ちゃぶ台、その四(前原坂とPetal.さんの話)

2005年の11月、出茶屋の初めての定期的な出店が始まりました。

前原坂の交差点を少し下ったところの『民俗雑貨 楽』さんと、『Flowers & Plants Petal.』さんの2件の素敵なお店の軒先をお借りして。

すっごいぶれてるけどこんな感じです。

petal前

屋台を始める前、小金井に越してきてすぐカレーのプーさんを食べた帰りかなにか、ふらっと通りかかったらその場所にヤドカリさんのお菓子ワゴンが止まっているのを見て、素敵だなーと思ったのが心に残っていました。

お祭りだけではなく、定期的な出店場所をと思って一番最初に浮かんだのがこの場所。

企画書を握りしめて楽さんとpetal.さんへ。
楽さんの店番をしていたのは Aさん。とても興味を持って聞いてくれて、店長さんに話しを通してくれました。Aさんは今でも出茶屋を見かけるとぱすっと寄ってくれるかっこいい姉さんです。彼女から聞いてきてくれたお客さまも今は2児の母♪

出茶屋の丸看板を描いてくれた星加海ちゃんと出会ったのも楽さん。れこちゃん、Iさん、さふみさん、楽さんからひろがったつながりもたくさん♪

 

前原坂からは、遠く読売ランドの観覧車も見えて、そこからの景色もとても好きでした。

最初の出店で分からないことだらけ。今思えばあれもこれも足りなかった、とひやひやすることばかり。

それを周りの方々に支えてもらっていたんだな、と改めてありがたく思います。

楽のみなさん、ペタルさん、とんかつ丸八のばんさん、太陽商事の本田さん、ペリーヌさん、珈琲鳴館さん、そして山下さん。
とてもお世話になり、ありがとうございました。おかげで今まで続けることが出来ているんだと思います。

 

そしてペタルさん。

企画書を持っていくと、
「それなら珈琲を飲んでみたい。おいしいと思うものじゃないと出せないから」と!

後日、珈琲一式を持ってペタルさんで豆を挽くところから見てもらって、珈琲を飲んでもらう。緊張の瞬間。。

「うん、おいしい。」と言ってくれた。

 

この森さんとのやりとりは私の中でとても大きな出来事で、出茶屋のスタートに森さんと出会えてよかったと心底思う。

お客さんにこれ!というものを提供すること、その対価としてお金を頂いているということ。そういう基本をびしっと見せられた感じです。

 

それから5年半。途中道路拡張の工事中にもめげずに続けられて、2店の間からPetal.さんのはしにちょこっと移動。
2010年8月、Petal.さんのお店移転まで続けることが出来ました。

これはクロージングの時に吉田健一さんに描いてもらった絵。

petal.さんの吉田健一さんの絵

 

petal.さんのお店の軒先出茶屋の風景がとっても好きだったから、吉田さんの絵で描いてもらいたくて、森さんへのプレゼントにとお願いして描いてもらいました!ぐりこもいますー。

 

そんでもって、petal.さんのお花はすごいんです。

例えば花束をお願いする時、ロックな感じで、とか雰囲気を言うとばっちり伝わって想像以上に素敵なものが目の前に。それが見たくて、なにかというと花束をお願いしたくなる。

緑の花だったり、かわいい花瓶だったり、不思議な植物だったり、きゅんとなるような森さんセレクトのステキなものたちがたくさん!好みのものがたくさんー!

Petal.さんは今、国分寺に工房を持って、注文販売&web販売や、毎月のはけいち、オリーブガーデンさんやスプンフルさんでもお花を販売してます。

お店がなくなっちゃった時はもうどうしたらいいのだろうと思いましたが、今でも毎月、毎週森さんのお花が買えるー♪
電話で注文したら、お届けもしてくれますよ〜。
先日の平林家でのリース販売で見つけたお豆のリース!

petal.リース

かっこいい♪ クリスマスまで、出茶屋に飾ってあります。

Flowers & Plants Petal. ←ペタルさんのブログはこちらから。正月飾りも楽しみだー。

森さん、いつも素敵なお花をありがとうございます!これからもどうぞよろしくお願いします☆

 

前原坂から始まった日々の出茶屋も7年が過ぎて、8年目に突入!

寒い冬空の下来てくれるお客さまに心から感謝を。

 

きっと真冬が出茶屋の醍醐味です(笑)。火鉢を囲んで珈琲と、みかんとか煎餅とか、お餅とか、囲みましょうー!

 

 

ちゃぶ台、その三(珈琲豆の話)

 

出茶屋にまつわる大切な話を、〝ちゃぶ台〟シリーズにしてぽつぽつ話していきたいなと思ってます。
山下さんから頂いた「ちゃぶ台」から始まって、その三、珈琲豆の話。

 

私の大好きな珈琲豆屋さんには、ドアが二つあって小さな店内には「ここは何屋だ?」というようなものが所狭しと並んでいる。

野菜とか、飴玉とか、時にしょうゆ?酒?というようなことも。 そしてプラレールとか、キーボード!?があることも。

小学生の子どもが一人でふらりと入ってきてあめ玉買ったり、お豆のおつかいに来たり、マスターとプラレールの話で盛り上がったり、
おばちゃんがタマゴだけなんだけどー、っとチャリンとお金を置いていったり。

試飲で出してもらう珈琲を小さなカウンターで飲んでいると、2つのドアから色んな人がやってきては出ていきます。

いろんな商品は、すべて人のつながり。

これは、誰々さんの畑でね、とか
面白い八百屋がいるんだよ、とか
すごい紅茶をつくるやつがいてさ、とか。

お客さんが手放さざるを得なくなったお茶畑までやることに!
お休みの日には毎週、静岡まで通ってお茶畑をやって、お野菜を作って、その村の人たちとも溶け込んで。

もう何年も、休みがないのでは。

マスターが「やりたーい!」と思ったらとめられないのよー。と呆れ気味に言うのは一緒にお豆の販売をしているけいこさん。

 

珈琲家 香七絵。お二人と出会って、マスターの焼いてくれた豆を使うようになってもうすぐ7年。
小さなお店を応援しなきゃって、本当に少しの量から卸しとして扱ってくれてとても嬉しかったです。

 

今まで生きてきて、あの時あの人やあの場所に会っていなかったら、という大切な出会いはあるけれど、
誰かを「師匠」と思うようなことはありませんでした。

香七絵のマスターは、焙煎の師匠。

マスターの焼いてるとなりに座って、お豆が焼ける様子を見せてもらったことが何度かあります。
どんなお豆でも、その豆の持っているおいしさを引き出したいと言うマスター。

手に持つストップウオッチはお守りのようなもので、目でみて、感じて、お豆を焼く。

焼き上がった豆をハンドピックさせてもらって、おいしく焼けた豆というのを教えてもらいました。

 

珈琲家 香七絵、には一応HPがあります。
まあ豆屋さんなら、どんな豆があって というような紹介があるだろうものですが、

「人間の嗅覚は千差万別、人それぞれ感覚的なものです。お味に関しては、ご相談、ご試飲の上お買い求めください。」

としか書いてありません。

ブログのカテゴリーは2つ。

・マスターが何か言ってるから聴いてやってください。
・珈琲豆・ロースト

でも、更新されるのは上だけです(笑)。

 

先日のマスターのブログ、「限りなく」。ぜひ読んでほしい。

 

日々思うことは、そんなマスターの焼いた豆を、おいしく淹れられますように。

今はお休みしている焙煎ですが、マスターの味をしっかりたたきこんで、いつか自分のこれって思うお豆を焼けるようになりたい。

 

で、上記のブログを読んで、命を削ってかー、かっこいいなーと感動してこないだお店に行ったら、

珈琲豆の並ぶカウンターの向こうで、さんまを焼いてました(笑)。

豆屋でさんま

お昼まだー?ってけいこさん。

月曜日に軒先をかりて営業している八百屋さんのピーマンとおいしいお醤油。
マスターが静岡から仕入れてくる平飼い卵とご飯を頂きました♪

 

そんなお店が大好きです。

 

 

 

 

 

 

 

ちゃぶ台、その二

いつ頃からだろうか。

出茶屋の出店日は毎日来てくれるようになったおじいちゃんがいる。

桝本さん。

桝本さん

植物や、動物をこよなく愛し、「人間のやることなんて全部嫌いだ」なんて言いながら、哲学や民俗学の本をたくさん読んでいる。(今は柳田國男の全集)

昼下がりの出茶屋で、桝本さんと

空飛ぶ鳥を数える話とか、宇宙の話とか、アラブに住んでいた頃の話とか、何も話さずぼーっとするとか、

そんな時間を過ごすのはとても楽しい。

 

桝本さんの自転車にはいつも花が咲いている。

桝本さんのチャリ

どこに置いても自分の自転車がすぐに見つけられるように、だそうです。

 

確かに!

桝本さんが小金井のどこにいるかすぐわかる(笑)。

自転車を見る度に、幸せな気持ちになれます。

 

その桝本さんが中心となって、みんなとまた火鉢を囲んで話が出来るように、

サークル『出茶部』を立ち上げました!

私も参加します!

 

みんなでちゃぶ台囲みましょ!

出茶部ホームページ

 

 

ちゃぶ台、その一

2005年の秋、出茶屋を始めて間もない頃、

「やっと見つけた」と一人のおじいさんが笑ってました。

骨董屋さんのその人は、それから出茶屋の出る日々、毎日お店に来てくれた。

ひとりでもお客さんが来る、と思えばお店出すしかないだろうって笑いながら。

 

調子のいいおしゃべりで、たくさんの輪が広がって、

「バーベキューやろう。」とか、常連さんの演奏家の方に「みんなに聴かせてよ」とか、当時の私からは出てこないようなことをずばずば。

それから毎年の恒例行事も増えていって。

 

このちゃぶ台は、骨董屋さんのその人に頂いたもの。

今は小金井に居ないけれど、ちゃぶ台がいろんなものをつないでくれる。

ちゃぶだい

 

おかげさまで、たくさんの人に応援してもらって、今の出茶屋があります。

 

「初心忘るべからず。」世阿弥の書いた『花鏡』の中の言葉。

芸の最初の未熟さを忘れないこと。

上達の段階の度の初心を忘れないこと。

たとえ達人の境地に達しても、新境地は初心に足を踏み入れること。

 

ありがとう。

 

屋台を引くのは楽しくてやめられない。これからも、ちゃぶ台運んでいきますよ!